最高傑作の呼び声も高かった前作「SIGNAL」から約1年振りにZabadakのオリジナル・ニューアルバム「Wonderful life」がリリースとなった。このアルバムから、ここ数年にわたりZabadakが楽曲の提供やコラボレートを続けてきた演劇集団キャラメルボックスの 2003年クリスマス公演「彗星はいつも一人」に、多くの作品が使用された。同タイトルの曲も収録されているが、アルバム自体は「彗星はいつも一人」のために書き下ろされたものではなく、収録曲の多くは吉良自身の手術、入院といった体験や、何人かの身近な人の死、など生活のなかで感じたことを元に今年の春頃から書きためられていたものだった。しかし、作品に底通する生と死の等しい重さ、そして空間と時間を駆け巡る人の想い、といったものが公演のテーマと見事にシンクロし、舞台と音楽との関係性をより深める結果となった。
今回吉良はオリジナルアルバムとしては珍しく、参加ミュージシャンに何曲かのアレンジを委ねている。「スリル」等で活躍している関島岳郎氏によってアレンジされたM-7「クリオン広場」でのホーンセクションはこれまでのZabadakには無かったサウンドを聴かせてくれる。吉良自身も「全ての音が重ねられた後で初めて関島氏の意図がわかった」というようなエキサイティングなセッションとなった。またギタリストの清水一雄氏による荘厳なギターオーケストレーションの冴える表題曲のMー8「wonderful life」、斎藤ネコ氏のストリングスアレンジが楽曲の美しさを際立たせるM-9「生まれては別れにむかうわたしたちのために」等で、吉良一人では到達できなかったであろう新たなZabadakワールドを聴くことが出来る。
多くの才能との奇跡的なセッションを経て誕生したアルバム「wonderful life」は
Zabadakの最高傑作の座を奪うことになるであろう。